408パンデミックビザ終了

2023年8月31日、オーストラリア政府は408パンデミックビザの打ち切りを発表しました。

⇒ 現408ビザ保持者以外の申請締め切り:2023年9月1日

⇒ 現408ビザ保持者の再申請締め切り:2024年1月31日

現在408ビザを保持している場合、来年1月末日まで再申請は可能とされていますが、ビザ申請料$405が発生し、かつ、有効期間は6ヵ月のみとされています。

プレスリリース: Closure of the Pandemic Event visa

就労ビザ‐最低給与の引き上げ

現行$53,900から$70,000に引き上げ

会社スポンサーによる就労ビザでは、TSMIT – Temporary Skilled Migration Income Thresholdといわれる最低給与が設けられています。就労する地域において同じ職種で働く場合の平均的な給与はいくらなのか(または、スポンサー会社で同じ職種で働くオーストラリア人(または永住権保持者)が居る場合、その労働者の給与はいくらなのか)などを確認し、どちらか高い方の給与を支払うことが条件の一つになっています。

これまでのTSMITは$53,900(スーパーアニュエーションを除く)でしたが、2023年7月1日以降、$70,000に引き上げられます。

‐ 2023年6月30日までにノミネーション申請を完了している場合には、現行$53,900で良しとする
‐ 2023年6月30日までにノミネーション申請がおりている場合、ビザ申請が2023年7月1日以降であっても現行$53,900で良しとする



連邦予算案と移民政策

2022年3月29日に連邦議会にて来年度の政府予算の発表がありました。オーストラリア政府の計画するポストCOVID移民政策がはっきりと見える内容となっているようです。

移民受け入れ数

来年度の移民受け入れ数計画として16万人をターゲットとするという発表がありました。これは、過去2年2021年度(-89,000人)、そして2022年度の41,000人からかなりの増加であると言えます。そして、2025年度までには21,3000人にまで増やそうという計画です。

政治的理由から2020年度の時点で前年度の19万人から16万人に削減したという数年前と比べると、失業率4%の人手不足に悩まされているオーストラリア経済では移民の受け入れを促進する方向で動き出したようです。受け入れ数からも、コロナ前の状態にいち早く戻すことを検討していることになります。

経済回復優先

今年度の41,000人から来年度の16万人の受け入れ数増加の内容を見てみますと、増加分の70%がスキルビザ、すなわち何かしらの経済活動を伴うビザであることが分かります。特に独立スキルビザカテゴリーに関しては、今年度の6,500から16,652の発行数が振り当てられることから、1万人近くの申請者がその恩恵を受けることとなります。もちろん、これだけ見るとビザが取りやすくなるとも言えますが、スキルビザに関しては審査待ちの申請数も多いだけに、大半がその分の処理で消化されてしまうとも考えられます。しかしながら、オーストラリア政府が移民の受け入れ数増加を検討していく方向である以上、若くて高学歴でスキルを有する方にはますますチャンスであると考えられます。

経済回復の一環としてサブクラス403農業ビザと通称呼ばれる短期商業ビザの更なる活用、それから学生ビザとワーホリビザにおいては労働条件等の緩和や申請費用の返還等で、過去2年間コロナ渦で止まっていたオーストラリアへの呼び込みを続けています。海外からの若い肉体労働者がいなければ、第一次産業への働き手がいないということが露骨に浮き彫りになったオーストラリア経済においては、今後の経済回復を図るために重要不可欠なものとなります。

そのため、今後経済回復を基軸として、どのような移民政策が導入されるかが見ものです。

その反面、パートナービザを含めた家族移住に関しては受け入れ枠が3万人減となるため、改めて審査期間が長引いてしまうことが考えられます。

人道的救済措置

現時点ではウクライナでのロシアとの紛争に関して世界中の関心を集めています。オーストラリア政府は、今年度ならびに来年度に渡りウクライナ人救済措置として4000人のウクライナ人に3年間の救済ビザを発行すると発表していましたが、多くのウクライナ人がヨーロッパの国々に移住するのではということから、これ以上の救済措置は現時点では発表されませんでした。その代わりにアフガニスタン難民に対し、向こう4年間において16,500人の人道的救済措置ビザを発行することを発表しました。

408パンデミックビザ – 改正

コロナ渦の影響によって政府特別措置として受付されている408パンデミックビザですが、以下のように改正されることとなりました。

12ヶ月のビザ:
重要産業(農業、食品加工、ヘルスケア、高齢者ケア、障碍者ケア、チャイルドケア、ツーリズム、ホスピタリティー)で就労中または就労オファーを貰っている場合

6ヶ月のビザ:
重要産業以外で就労中または就労オファーを貰っている場合

対象者:
‐ 2022年2月21日前までの入国者;
‐ それ以降の入国者でビザ申請時に就労可能なビザを保持している場合;
‐ それ以降の入国者でビザ申請時に連邦政府支援の高齢者ケアサービスで就労オファーを貰っている場合

408パンデミックビザは、現在保持するビザが失効するまで90日を切っている、または、失効後28日以内の場合に申請が可能です。

このビザは政府特別措置によって一時的に導入されたビザで、オーストラリア経済復興を目的としており、適宜、見直し改正されていますので、常に最新の情報を確認するようにしてください。

オーストラリアへの入国制限解除について

2022年2月21日から規定のワクチン接種者を対象に、入国時の制限が解除されることとなります。これにより、観光や商目的、その他外国人訪問者を渡航免除を取得することなく、オーストラリアへの入国が可能になります。

渡航免除を取得する必要はなくなりますが、以下のような手続きが渡航前後に必要です。規制は常に見直されますので、最新情報を常に確認し、それに従うようにしてください。

参考: 移民局公式サイト

1.ワクチン接種証明
出入国時にワクチン接種証明の提示が必要です。日本でワクチン接種を完了している場合は、厚生労働省のリンクをご参考ください。

2. オーストラリア渡航申告書の提出
「Digital Passenger Declaration」というオンライン申告を出国から72時間前までに行う必要があります。DPD – Digital Passenger Declaration専用サイトからアカウントを作成し申告します。入国時に申告済みである証明の提示を求められる場合があります。申告していない場合、懲役または罰金最大$11,000が課せられます。

3. PCR検査証明
出国から3日以内に受けたPCR検査で陰性であること。(または、出国から24時間以内に医療従事者のもとで簡易検査キットで検査を受け、その証明書の提出ができること)

4. 入国都市(州・準州)ごとの隔離規制
入国する都市のある州・準州によって入国時の規制が設けられています。上記2とは別に入州前のオンライン渡航申告が必要な州・準州もありますのでご注意ください。

>> ニューサウスウェールズ州(シドニー)
>> ビクトリア州(メルボルン)
>> クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト、ケアンズ)
>> 南オーストラリア州(アデレード)
>> 西オーストラリア州(パース)
>> タスマニア州(ホバート)
>> 北部準州(ダーウィン)
>> オーストラリア首都特別地域(キャンベラ)

卒業ビザに関する特別措置

コロナ渦の影響による特別措置が正式に発表されました。以下の条件に該当する場合、2022年9月30日まで有効の卒業ビザを申請することが可能になります。

COVID-19 Temporary Graduate replacement stream

‐ 2020年2月1日から2021年12月14日の期間のうち卒業ビザを保持しオーストラリア国外に居た場合
‐ 上記の期間、保持していた卒業ビザが失効した、または、2022年10月1日以前に失効していた場合
‐ 卒業ビザをキャンセルされていない場合
‐ ビザ申請料:$1,680

2022年中旬ごろから受付が開始されます。

入国制限緩和について

2021年12月1日より日本国籍保持者で以下の条件を満たす方に限り、入国制限が緩和されることとなりました。以下の条件を満たす場合、渡航制限免除の申請および取得は不要となります。

-日本のパスポートを保持していること
-オーストラリアのビザを保持していること
-規定のワクチン接種を終えていること
-日本からの直行便で入国すること
-日本出発までの3日以内にPCR検査を受けて陰性であること
-日本出発の72時間前までに渡航宣誓書を提出すること

オーストラリアへの入国はこの政策に加盟している州・準州に限られており、2021年11月22日時点において、NSW州、VIC州、ACT首都特別地域がそれにあたります。これら3つの州・特別地域では、規定のワクチン接種を終えている入国者に限り、14日間の隔離措置を免除するとしています。

参考:https://covid19.homeaffairs.gov.au/japan

7月1日からの改正:事業投資家ビザ

サブクラス188事業投資家(暫定)ビザの申請条件が一部改正されました。2021年7月1日以降の申請者が対象となります。

ビジネス・イノベーション・ストリーム(5年)

  • 4年のうち最低2年の事業売上が年間75万豪ドル以上あること(旧:50万豪ドル)
  • ビザ申請時、事業および個人資産の合計が125万豪ドル以上あること(旧:80万豪ドル)
  • 188ビザの延長は2年(最初の188ビザ認可日から合計7年)まで可。但し、COVID-19の影響が認められる場合は最大4年(合計9年)まで可

インベスター・ストリーム(5年)

  • 5年のうち最低1年間、最低250万豪ドル投資していたこと(旧:150万豪ドル)
  • 申請前の2年間、事業および個人資産の合計が250万豪ドル以上あること(旧:225万豪ドル)
  • 招待を得て後250万豪ドルの投資(50万豪ドルをプライベート・エクイティ・ファンド、75万豪ドルを新興企業、125万豪ドルを運用ファンドへ投資すること)ができ、かつ、188ビザが有効な5年間その投資を継続できること(旧:150万豪ドルの州債を4年間)

上級投資家(SIV)ストリーム(5年)

  • 招待を得て後500万豪ドルの投資(100万豪ドルをベンチャー&プライベート・エクイティ・ファンド、150万豪ドルを新興企業、250万豪ドルを運用ファンドへ投資すること)ができ、かつ、188ビザが有効な5年間その投資を継続できること(旧:4年間の指定投資)
  • 188ビザの延長は最大4年(合計9年)まで可

学生ビザ保持者の就労制限について

学生ビザ保持者は基本2週間で40時間までの就労が認められていますが、現在、コロナ禍により特定の状況下で雇用されている場合に限り、時間制限なく就労できる措置がとられています。その「特定の状況」にツーリズムならびにホスピタリティーが加えられることとなります。

〔特定の状況〕
– 看護や薬学など医療関係のコースを就学中で、かつ、新型コロナウイルスに対応する業務のアシストを行う医療関連の就労である場合
– 2020年9月8日以前に許認可のある高齢者ケアまたは関連施設に雇用されている場合
– 2020年4月23日以前に全国障害保険スキームに登録している機関に雇用されている場合
– 農業分野で雇用されている場合
– ツーリズムならびにホスピタリティーの分野で雇用されている場合

上記の特別措置は一時的な措置であり、定期的に見直されることとなっていますので、常に最新の情報を確認するようにしてください。

408パンデミックビザ

現在、重要産業に携わっている一時滞在者は条件次第で408パンデミックビザ(408 COVID-19 Pandemic event)の取得により最大12ヵ月までの滞在と就労が可能とされていますが、指定の重要産業として新たにツーリズムおよびホスピタリティーが加えられることとなりました。

〔重要産業〕
農業、食品加工、ヘルスケア、高齢者ケア、障害者ケア、チャイルドケア、ツーリズム、ホスピタリティー

〔主な申請条件〕
重要産業での就労を継続する場合 – 最大12ヵ月までのビザ
– 現在保持するビザが90日以内に失効する、または、失効後28日以内であるこ
– 他に申請できるビザがないこと
– 継続的に重要産業で就労していること
– オーストラリア人労働者の確保が難しく、同雇用主に引き続き雇用する意思があること
– 生活費を補えるだけの資金を有していること
– 健康状態に問題がないこと
– 保険に加入していること

重要産業での就労でない場合 – 最大3ヵ月までのビザ
– 現在保持するビザが28日以内に失効する、または、失効後28日以内であること
– 他に申請できるビザがないこと
– 飛行機のキャンセルなどによって帰国が困難であること
– 生活費を補えるだけの資金を有していること
– 健康状態に問題がないこと
– 保険に加入していること

このビザは、あくまでも緊急措置としてのビザになります。一時滞在者への救済措置は基本的にとられていないため、例えば、観光ビザで滞在し生活費を補えるだけの資金がない場合には帰国するようにというのが政府の方針となります。